木挽町句会

第一回(04.3.30)
兼題句 閑居して春霞をば喰らいけり 閑太郎
地下鉄を出て包まれし朝霞 美佐子
霞たち耕運機の音あふれけり 寿 世
雑詠句 朝まだきうぐいす呼ぶや旅の宿 和 風
二十年の造成地にも鶯の啼く 寿 世
第二回(04.7.20)
兼題句 (兼題の提示がなかった)
雑詠句 時の消す痛みもありて蚊遣り焚く 杉の子
第三回(04.9.28)
兼題句 秋ともし母の呼ぶ声叱る声 山 舟
秋燈やフアドの余韻の石畳 美佐子
雑詠句 枝豆や一寸ほどは宙を飛び 山 舟
第四回(04.11.16)
兼題句 時雨来て後悔ばかり先に立つ 美佐子
時雨かささしたるひとのふっと消へ 寿 世
竜頭巻く一刻確か冬兆す けんじ
宿坊の時雨に澄ます心耳かな 杉の子
時雨るるや値引き競ひしノミの市 山 舟
雑詠句 頭数揃ふを待てぬ鮟鱇鍋 けんじ
駆け抜けし最多安打や秋日和 山 舟
初時雨傘を差す人差さぬ人 杉の子
第五回(05.1.18)
兼題句 子らの家に夢を託して注連飾り 真且
七草のサラダもありて惣材屋 美佐子
七草やいつもの菜漬添へてあり 杉の子
雑詠句 新しき家族を待てり祝い箸 けんじ
さし向かひ二合と決めて小正月 美佐子
第六回(05.3.22)
兼題句 初歩きして蒲公英につまずきぬ 修山
鼓草摘んで野の香を臥す妻に 佳南
雑詠句 春うらら文具の匂ひ新しき けんじ
方丈がパソコンを打つ彼岸寺 佳南
第七回(05.5.31)
兼題句 色褪せし色褪せし父の帽子や夏兆す 寿世
一手打つ女流の袖や夏めいて 桧村
雑詠句 夏岬たしかな円み一望す 桧村
第八回(05.8.9)
兼題句 後襟きりつと立てし日傘かな 寿世
雑詠句 白壁を一筆書きに夕燕 けんじ
鵜篝の残せし闇の深さかな 修山
第九回(05.9.20)
兼題句 新蕎麦の水をくぐりて美形なり 美佐子
垂れつけずまずは一口走り蕎麦 杉の子
雑詠句 生涯に炎ゆる恋なし酔芙蓉 佳南
明日香路や謎に色添ふ曼珠沙華
第十回(05.11.15)
兼題句 冬浅し彩の寂びて野に遊ぶ 敏和
朝市に肩脱ぎもゐて冬はじめ けんじ
雑詠句 よろめいて花よ花よと冬の蝶
エアメール楓一枚添へてあり けんじ
身の丈で生くる確かさ栗をむく 杉の子
第十一回(06.1.17)
兼題句 菜園を均(なら)す人あり小正月 寿世
雑詠句 人波に妻さらはれて初詣 佳南
第十二回(06.1.17)
兼題句 別れあり出会ひもありて弥生かな 山舟
雑詠句 利根うらら自転車と乗る渡し舟 桧村
第十三回(06.5.23)
兼題句 走り梅雨傘から洩れる国訛り 山舟
走り梅雨わらべの傘の低きこと
雑詠句 小手鞠の花に甘雨の重さかな 寿世
若葉風千余の鯉の谷のぼり 桧村
花疲れパン屋の小椅子子と分かち けんじ
第十四回(06.7.11)
兼題句 昭和史の記憶たどりて麦茶かな 修山
縁遠き娘の煎りし麦茶かな 杉の子
雑詠句 薔薇の湯や孫娘(まご)嬉々としてのぼせをり
青あらし地蔵の帽は阿弥陀にて 桧村
第十五回(06.9.19)
兼題句 目の奥の海の青さや初秋刀魚 寿世
雑詠句 語りたき母に帰省子無口なり 佳南
第十六回(06.11.14)
兼題句 古書店の灯消へて霜夜かな けんじ
雑詠句 茶を酒に替へる口実そぞろ寒 けんじ
第十七回(07.1.23)
兼題句 火の始末言い置き妻の小正月 桧村
雑詠句 去年今年刺さりしままの指の棘 杉の子
 第十八回(07.3.20)
兼題句 西行忌紙漉く里の京ことば 杉の子
栄転も流たくもありて西行忌 佳南
雑詠句 雛あられ老いの口にも優しけり 桧村
第十九回(07.5.22)
兼題句 卯波寄す磯に芥の異国文字 佳南
雑詠句 白鷺の抜き足差し足泥田かな 桧村
第二十回(07.9.25)
兼題句 滝壺に現世一気に落ちゆけり けんじ
雑詠句 手花火や小さき膝の囲みおり 桧村
第二十一回(07.11.20)
兼題句 どことなく日記遺書めく夜長かな 杉の子
雑詠句 売れず積む古書の中から虫の声 佳南